2008/01/25

『パンズ・ラビリンス』

パンズ・ラビリンス DVD-BOX パンズ・ラビリンス 通常版

 この映画、去年映画館で見て、DVDになったら絶対に買いたいと思っていましたが、いよいよ3月下旬に日本盤が発売になりますね。しかも通常版にくわえ、特典がついたボックス版も選べるようになっています。もちろん映画を見るだけなら通常版でいいわけですが、この作品でギレルモ・デル・トロ監督の映画に出会ったわたしは、メイキングやビジュアル・エフェクトなどの映像特典にくわえ、監督直筆スケッチによる設定資料が封入されているボックス版に興味があります。
 
 で、映画の話。予告編を見たときは、子ども向けの前向きなファンタジーなのかと思っていたせいか、けっこうな話題作のわりには上映館が少ないわねえといぶかっていたわたしですが、実際に見てその理由がわかりました。まあ、そうよねえ。家族で楽しく見るような映画じゃないですもん。つか、そもそもR-12だし。

 多感な少女が空想の世界に逃避するという、いかにもファンタジーな設定ですが、少女の空想の世界は単なる逃避の場ではなく、彼女自身がためされる場として描かれています。現実の世界ではレジスタンスの人たちが闘っていて、それと呼応するように主人公の少女も空想の世界であたえられた試練に取り組んでいく。その作り方がすごくいいんですよ。映画の途中である人物が言う「疑問を持たずにただ従うだけならもはや人間ではない」という台詞にはぐっときました。それに少女が最後にとった行動にも。このへんは、市民運動というものがしっかり根づいているヨーロッパならではだなあと思いました。

 痛い場面をことさらこだわって撮るのがこの監督の趣味なのか、なかにはお尻がむずむずしてきちゃう場面もありますが(^^;)、そのどれにも必然性と物語があり、残酷でありながら不快感はありません。誰にも気軽にすすめられる内容ではないけれど、多くの人に見てもらいたい映画です。

★フルバージョンの予告

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